特集

東京私立男子中学校フェスタ&神奈川私立男子中学校フェア2018

春の恒例行事となった、男子校だけが一堂に会する、東京私立男子中学校フェスタ、神奈川私立男子中学校フェア。2018年、東京は6月3日(日)9:00〜16:00、京華中学校に29校(資料参加含む)が、神奈川は6月10日(日)10:00〜16:00、栄光学園に11校が参集し開催されました。 ------------------------------------------------------ 男子校による男子のための特別な相談会 ----------------------------------------------------- 【東京私立男子中学校フェスタ2018】 東京は晴れ渡り汗ばむ陽気で、天候に恵まれました。受付後に通る、ポスターセッション式のウェルカムインフォスポットでは、その場を任された各校の生徒が、男子校の魅力、自校の特徴を熱く語っており、「学校が好きなんだなあ」と感心するやら胸が熱くなるやら。体験授業、テーマ別合同説明会、ミニ説明会、校長先生5分講演のほか、学校別ブースでは、ミニ説明あり、保護者やOB、在校生による個別相談あり、映像やワークショップなどブース内イベントあり・・と多彩な催しが繰り広げられました。これだけでもとても回りきれないほどですが、今年の協賛企業セミナーは、コロコロコミック編集部による編集のお仕事解説、ドローンシミュレーターやフライトシミュレーター体験などのワークショップも開催され、多くの小学生が足を運びました。食堂、ピザーラ男子校フェスタ店なども、親子揃ってイベントを楽しむのに一役かってくれます。 生徒プレゼンフロアは、生徒たちの視点で男子校を紹介する専用フロア。事前にHPで公開されていた学校紹介CMコンテスト、鉄道模型展示、鉄道クイズ王選手権(今年が第一回)、文化部の発表や作品展など、男子校の雰囲気を再現。 先生方とともに生徒も来場者にクイズを出したり、展示物を説明したり、大活躍でした。 写真はウェルカムインフォスポットにて。高輪は高2の生徒会長が写真を示しながら学校を紹介(左)、生徒手書きのアピールポイント付箋がボードいっぱいに張られていたのは桐朋(右) 【神奈川私立男子中学校フェア2018】 迎えて10日は肌寒い生憎の雨模様の一日でしたが、会場のあちこちで、男子校の魅力を伝えたい先生や生徒の熱意に背中を押されるように、プログラムを片手にイベントを追いかけ移動する受験生親子の姿が見られました。和太鼓やジャグリングなどの野外パフォーマンスは第一体育館に変更、サッカーやテニスの交流試合は雨で中止となっても、飽きさせないのが「男子校の底力」(これは東京のキャッチフレーズでもありましたが)。小講堂のパフォーマンス、小学生のための体験授業や部活のプレゼンテーションを巡るだけでも瞬く間に時間が過ぎて、ふと気づくとランチタイム。軽食販売所でお弁当を購入し、控え室として用意された教室でホッと一息ついたら、いざ、再び男子校の魅力の海へ。

市川・松戸 女子中学校見学バスツアー 2018年5月16日(水) 

今年で13回目を迎えた、『市川・松戸 女子中学校見学バスツアー』。 一日で3校を回れるバスツアーとあって人気の企画です。 今年もバス5台に分乗してのツアーとなりました。 快晴の朝、集合は国府台女子学院。 ツアー受付で3校の資料を受け取り、講堂(寿光殿)へ。 国府台女子学院の学校紹介ビデオが流れるなか、開会を待ちました。 ○○●国府台女子学院からスタート●○○ 【9:20am----------】 一日の流れの説明の後、さあ、いよいよツアー本編の開始です。 トップバッターは、国府台女子学院。平田学院長が、ステージ上のご本尊を背に、仏教教育の意義や女子校のメリットを語り、同校の生徒の進路状況などを説明されました。 ・女子の志向や、心の成長にあった教育は女子校ならではのメリット。 ・性別による役割分担のない女子校こそ、女性が社会で活躍する基礎を育む。 ・進路に合わせた選択科目は、希望者が一人でも授業を行う。 ・週1回の仏教の時間は、世界の宗教を知り、また仏教的世界観に触れることで自己規範性を育む。 その後、いくつかのグループに分かれて校舎見学に移りました。 2011年に竣工した中学部・高等部校舎は、広々として明るく、引き戸の格子などちょっとしたところに、仏教系の学校らしさが、そこはかとなく漂います。おやおや、段ボールの山が雑然とロッカーのうえに山積みされているのは、なぜ? 6月の運動会の仮装行列の材料で、一年でこの時期だけの風景です。山の高さから運動会にむけた盛り上がりが感じられます。 見学の終点は図書館。一息ついてエントランスに並んだ順にバスに乗り込みます。 ○○●聖徳大学附属女子へ移動●○○ 【10:30am----------】 いざ、2校めの聖徳大学附属女子中学校へ。 移動の車中では、聖徳大学附属女子中学校の先生が、学校概要を説明されます。学校に着いたらどこを見ようか、 聖徳大附属の一番の特徴は何だろうか、新しいコースが始まるようだ、という心構えのようなものが出来た頃に学校着。入り口では、校長先生も笑顔でお迎えに立っていてくださいました。 奏楽堂では、マーチングバンドによる「風になりたい」の演奏、高1生による中3の時の研究のプレゼンテーションも披露。川並校長は、近年の改革の流れに沿って同校の特徴を語りました。 ・校名に附属とついているが、8割は他大進学。現役進学率は9割台で推移。 ・平成25〜27年にルーブリック評価を開。 ・来年度から、S(Superior)探究コースとLA(Language Arts)コースを設置する。 ・世界一短い教育理念「和」。心は一人では磨けないから多彩な行事がある。 ・小笠原礼法を学びながら思いやりの心を学ぶ。 引き続き大野教頭による、新コースでめざす、「聖徳流21世紀スキル」の育成についての説明がありました。そして乗車バス単位で校舎見学へ。書道室や作品、礼法室のたたずまい、きれいに靴が並ぶ下駄箱、お土産に用意された折り紙の鶴の箸置きなど見るにつけ、説明と設備が一致してきます。

栄東中学校 第一回学校説明会 2018年5月12日(土)

各校の特徴や教育内容を知る学校説明会、合同相談会、オープンキャンパスといったイベントが数多く開催されています。そこには、現場の先生の語る、心に残る言葉との出会いがあります。今回は、5月12日に行われた、栄東中学校の学校説明会で聞いたキーワードから、同校が生徒のために大切にしていることをみていきたいと思います。 ◆「居がい」◆ 説明会冒頭の田中校長の話から。 中1の英語の授業も持っている田中校長が、「英語はツール」と言い切ると説得力があります。以前、英語のテキストをプログレスからニュートレジャーに変えたことを取材したとき、「よりvividな英語が使われていること」を理由のひとつに挙げられたことを思い出します。 生徒思いの言葉は、この日の「居がい」という言葉にも込められています。クラブでも、論文を書くことでも、何でもいいので、自分の「居がい」を見つけられれば、生徒は伸びて行く、という校長の信念が、科目を横断的、縦断的に学ぶアクティブ・ラーニングの実践に投影しているのは、まちがいないでしょう。 教師の出張などで空きがでた場合、代講が必ずしも同じ科目の先生ではなかったり、高校の担当者であったりする柔軟性。現代文の授業で、英語で質問してきた生徒に、教師も英語で返したエピソードも披露され、「見えるもの、見えないもの、一見無駄に見えるもの、すべてから生徒は学ぶ」学校の様子を想像しながら、この後、登場した、在校生の話に耳を傾けました。 ◆積極性◆ 生徒たちから受けた印象を表すなら、素直な積極性。 学活の時間を利用して、説明会に中1生が登場。4月に入学し英語の授業もまだ16時間しか受けていない中1生10人(中2生も3人)に、「英語でも日本語でもいいから学校生活を話して」と英語で(しかもかなり早口)田中校長が口火を切り、一言ずつ自己紹介。英語あり、日本語あり、学校PRあり、部活勧誘あり、学校や先生への注文あり。一言ずつしか話せないのでもっと言いたいという気持ちがあふれるようで、それぞれが楽しい学校生活を送っていることがよく伝わってきました。 「千葉から2時間かけて通っているが、楽しい」 「ボクはクイズチャンピオンになります」 「毎日、ディズニーに来るような気持ちで学校に来ています」 「給食の唐揚げの大きさは尋常ではありません」 「○○は不合格でしたが、今、とても学校生活が楽しい」 「校長先生の英語の授業はスピードがとても速いので、しがみついてがんばっています」(powerful、interestingと英語でも表現) 「他に合格した学校もありますが、アクティブ・ラーニングがあるので栄東を選びました」 時に会場に笑いを誘いつつ応答が続きました。 「授業が延びて休み時間が少なくなるので、時間を守ってほしい」 「給食の麺がのびやすい」 と、司会や見守る先生も冷や汗が流れそうな“注文”も飛び出しましたが、「学校が好き」の裏返し、ですね。 ◆剣でなくペンを持つ◆ 栄東のインターナショナルプログラム・コーディネターのマイケル・リンゲン先生は、熱い思いを言葉に乗せて。 今年1月に東京で行われた「2018 PDWC高校生パーラメンタリーディベート世界交流大会」には、世界13カ国の高校生が参加。英語でディベートし交流するプログラムです。渋谷教育学園渋谷のような国際コンテストで活躍する常連校とともに栄東生も参加。入賞こそ逃したものの、生徒がこうした経験を積んで成長していることに手応えを感じているのが分かります。 マイケル先生は「日本の教育を変えたい」と起業、栄東では英語プログラムを作りあげてきた経歴の原点には、日本人に英語で話しかけた時、“No English.”と逃げられた経験があります。 海外大進学塾、Route H(ルートエイチ)のチーフコーティネーターとしても活躍しています。栄東でも、国際部(現インターナショナルクラスに改組)から東大合格という実績を出してきました。この日の午後には大阪へ出張という超多忙な方ですが、説明会でも熱い思いを訴えました。 「剣でなくペンを持とう。ペンは言語です。ペンを使うには紙が必要なように、言語を使う技術を教えていくのがボクの仕事です」 ◆失敗する経験◆ 学校生活について語った市原先生の話からは、「失敗する経験が大切」という言葉に注目しましょう。 栄東では、タテに深く掘り下げるだけでなく、それらを横につなげる教科活動をアクティブ・ラーニング(AL)を行っています。外部コンクールへも生徒が自発的かつ積極的に参加。貯めたお年玉で、キッザニアのコスモポリタンキャンパスに参加した生徒もいたそうです。学校外のプログラムに参加する効果を、友人との助け合い、社会のつながり、社会からの評価、失敗する経験と考えて、学校としても応援しているといいます。 中1の河口湖AL、中2古都AL、中3オーストラリアALを大きな柱とする校外ALは、徐々に視野を広げていくとともに、教室での授業と校外学習は科目の枠を超えて連動しています。授業=校内ALは、例えば理科の授業には、「必ず失敗する理科実験 ディスカッションシート」を使い失敗には何が足りないのかを考えるよう工夫するなど、日常的にあちこち仕掛けがあります。 ALについては、後日改めて取材してお伝えしたいと思います。

立教女学院 高3卒論発表会 2018年3月10日(土)

2000年度から始まった立教女学院の総合的な学習、「ARE学習」。高3の卒論は2003年度から続いており、ここ数年は毎年3月に、一般公開の卒論発表会が開かれています。「卒論は6年間の集大成。ARE学習は、誰のために勉強するのか、今後どう役立つのかを考えるものでもある。難しいからこそやりがいがあり、達成感がある」(発表会冒頭の挨拶で田部井校長)。 今回は、この言葉を示してあまりある発表が行われた、今年の発表会をレポートします。 まず始めに今一度、ARE学習とは、を振り返ってみましょう。 A=ask テーマ、課題を自ら求める R=research テーマに基づき徹底的に調べる E=express  プロセスと結果を言語化して発表する この頭文字から命名されていることからも分かるように、自学自習能力を養うもので、中学3年間は、課題設定力、表現発表力の基礎を身につけていく期間。そして高校では、1・2学年の準備段階を経て3年時に集大成として卒業論文を作成(※)します。 (※希望者。但し立教大学推薦希望者は必修選択) テーマは実に多岐にわたり、アプローチの仕方も多彩です。発表会のプレゼンテーションでも、仮説→検証→考察→展望という論文のプロセスにおいて、現実直視、複数の視点・立場からのアプローチ、情報処理、説得、言語化などさまざまな壁を乗り越えてきたことがうかがえます。 こうした教育を受けた人たちから、高等教育や社会で活躍する人材が出てくるのは、とても自然なことと言えるでしょう。発表会では、毎年、卒業生も、卒論と自分の仕事について語ってくれ、後輩へのエールになっています。 【高3生発表】 * 「看護師不足の深刻化にみる、現在の日本社会の様相」Akari.Nさん 人材不足の看護の歴史をふまえて、来る超高齢化社会で起こる問題を考察。不足する原因の仮説を検証しながら、女性の社会進出の環境整備を解決策とする結論に導いたもの。 現場で働く外国人看護師(インドネシア人)へのインタビューを行い、また病院経理に関わる国の基準、ジェンダーギャップなど幅広い法律、統計をよく調べていることに驚きます。卒論作成をとおして、国会の法案や政府の施策に関心が向くようになったこと、社会で起こっている事柄は複雑に絡み合っていること、そして世の中に興味を持つことが自分の将来を考えることだという発見こそ、Nさんにとって、最大の成果といえるのではないでしょうか。 * 「日本における移民政策の実態と建前の乖離」 Mamika.Mさん 多くの移民がいる日本に移民政策はないのはなぜか。政府の持つ移民イメージ、歴史的背景、現実に起きている誤解など6つの仮説から、日本の構造的な問題であると位置づけ、移民を生活者として受け入れるのが日本の義務であると提起した。 群馬県邑楽群大泉町(おうらぐんおおいずみまち)でのフィールドワーク、過去、現在の国の施策、外国人に対する日本人の感情。。。社会の暗い側面にも目を背けず実態を明らかにしようと試みた、タフさを感じます。「このように社会的テーマに取り組んだ自分だが、大学は理系に進む、でも社会問題は文理問わず生きていくことに必要」とし、「ARE学習の真髄を理解した」とMさんに言わしめたのは、立教女学院のARE学習が、あらゆる力を、まさに総合的に涵養するプログラムだからでしょう。 【卒業生の話】 * 「学びの先に未来を描く〜社会人として2年が経って〜」Mao.Kさん 社会人2年目の卒業生。タイと日本のLGBTの受容の違い、差別に疑問を持ったKさんの、高3卒論テーマは「タイにニューハーフが多いのはなぜか」。大学でソーシャルビジネスを学び、現在は、世界有数の自動車部品メーカーの経営企画部で働いている。大学在学中は学生アシスタント活動や、ビジネスコンテスト参加も。 卒論では、複数の視点をもつ力(広さ)、考え抜く力(深さ)、伝える力(周りとの共有)というスキルが身に付いたと振り返ってくれました。仮説→検証、なぜという問いかけを繰り返した卒論制作の過程で、Kさんには目標ができたのだそうです。それは「途上国の生活向上に寄与したい」という想い。卒論で学び得たものは、考える基礎体力、学びを深め、学びを自分事に落とし込む土台だったことから、「答えのない問題を考える場所」だった大学でも、問題を多角的に捉え、深掘りし、答えを見つける力となったと回想。就職活動でも卒論で芽生えた「想い」は変わらず、ゆるぎない軸となったというKさんが選んだのは自動車部品メーカーです。刻一刻と変わる事業環境、厳しい職場環境の下、情報を集め、自分で考え、相手を共感させるように働く原動力は、あの「想い」。日々やりがいを持ち働くKさんは、卒論は「社会を生き抜く力の根幹となりうるもの」「自分の人生を切り開くきっかけとなりうるもの」と語り、観覧する中3生、来場者に語りかけました。卒論以外の場でも、立教女学院ではその力をみにつけられると付け加えたことも、付記しておきます。 Kさんが、就職は「与えられる立場」から「与える立場」へ変わる時という覚悟をもって社会に旅立つことができたのは、高校の卒論で考えた「なぜ」から始まった「想い」の強さを抜きに考えられない、そう思います。 (市川理香)

聖光学院 SSH成果発表会 2018年3月17日(土)

 3月17日、聖光学院では、高1生による「SS探究Ⅰ」の「成果発表会」が開かれました。  聖光学院は2017年度からSSH(※)指定校として研究開発を進めています。研究課題Iとして設定した「科学的思考能力を育む中高一貫による理数教育課程の開発」の具体的取り組みのひとつが、 「探究基礎」(中学3年生)、「SS探究I」(高校1年生)の設置です。今年度のSS探究Iの実践活動は、 ・ 夏休み前、高1生全員から探究テーマを聞き取り、 ・ 全員のテーマを共有しあい、テーマが似ているもの同士でチームを組む ・ チームとしてのテーマを絞り込み、探究活動 という流れで進められました。早いところでは3ヶ月でまとめあげたチームもありますが、中には途中でテーマ変更、あるいは挫折を味わったチームもあるなど、「成果」の形は様々です。Teaching assistant(TA)の大学院生はもちろん教員も、実験や調査の方法、先行研究の調べ方について方向性を示唆することはあっても、結果や考察に口出しはしません。生徒にとって、それぞれの探究活動の経験が、この一年の成果といえるのかもしれません。 ※SSH:文部科学省による、将来の国際的な科学技術人材を育成することを目指し、理数系教育に重点を置いた研究開発を行う「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」事業。2017(平成29)年度は全国で203校が指定を受けた。  さて、発表会当日。午前はポスターセッション、午後はオーラルプレゼンテーションです。  ポスターセッションは、前半と後半に別れ、各28チーム計56チームが研究成果をまとめたポスターを用意し、チーム全員が交代でします。テーマもポスターも多彩ですが、質問に対する応答にも個性があり、スタート当初は見学側の生徒にも照れくささとたどたどしさが見られたものの、「どんどん質問しよう」と促されると、会場のあちらこちらでボリュームもテンションも上がっていきました。すべてをじっくり聞いて回るのは無理だと途中で諦め、途中からは興味のあるテーマの発表を聞くことに方針転換。それでも、あっという間に時間が過ぎていきました。見学の生徒は発表を聞き、質問し評価。評価にあたっては、「テーマ」「探究内容」「今後の展望」「ポスターデザイン」「プレゼン」の5項目毎に、評価基準に従って点数を付けます。例えば、探究内容の最高評価5は、「仮説→実証・検証・計画→考察を複数回行っている。客観的に正しい内容になっている」。逆に評価1は「仮説→実証・検証・計画→考察を行っていない。主観的な内容になっている」というように評価シートに示されているので、評価する側もされる側も、観点が明快です。ポスターの横に用意された評価シート回収封筒には、どんどんとシートが入れられていきました。  生徒以外に、保護者、大学院生、卒業生、企業関係者らも来場し、生徒とともに発表に聞き入りました。大学院生や企業関係者は、聖光学院のSSH事業を何らかの形で支援している人たち、その友人たちとのことで、あらゆる意味で先輩。彼らの質問に対しては、見事回答ということばかりではありません。例えば企業マーケティング視点の質問に、「そこまでは考えていませんでした」という正直な答えもありましたし、母親の生活体験からの質問には、「お金がかかるんで・・」など高校生らしい“限界”も。こうした場を経験し、今、足りないものを知り、アプローチの視点を学んだのではないでしょうか。  最後に、高1生は自己評価シートを提出。中3生は先輩の姿に学び、高1生は他チームに学び、自分を省みる、そうしたサイクルが繰り広げられている「現場」でした。  SSH初年度の高1生にとっては2年分の内容を一年で行うという駆け足で、テーマ設定から発表までの時間は短かったかもしれません。探究基礎を経て来年、SS探究Ⅰの成果発表を迎えるであろう現中3生の変化にも注目しておきたいものです。