東洋大学京北中学校
受験生への校長メッセージ
渋沢栄一さんに代わった「壱万円」札ですが、今も私の中には福澤諭吉さんが残っています。
29歳までずっとお世話になってきた聖徳太子さんと異なり、福澤諭吉さんへと代わった時は、随分軽くなったなと思っていましたが、失礼ながら私の中では、もっと軽くなってしまったような印象があります。
今も学園ドラマは放送されていますが、みなさんは「お前の諭吉が泣いている」という番組をご存知でしょうか?
東山紀之さんが扮するケッペキこと結城碧志が、国分太一さんが扮する赤字を抱えた学院を立て直すため経理担当として前理事長の遺言により就任した孫と、徹底的な倹約術で再建を果たしていくという物語です。その決め台詞が「あなたの諭吉が泣いています」でした。「データは示すけど自分の意見は言わない経理一筋の男」が、「正しいお金の使い方」を語り、新しい価値観を通して「幸せとは何か」を問いかけるドラマでした。
今さら私がご紹介するまでもなく、「学問のすすめ」で「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らずと言えり」と唱えた、慶應義塾の創設者です。その福澤諭吉さんが、こんな言葉を残しています。
「一日一日の努力が、大きな夢を叶える力になる」
あまりにも当たり前ですが、実はこれが基本だと私は思います。八丈島は昔から暴風雨の多い地域ですが、風や雨から住居を守るために溶岩の石垣を巡らし、その上に椿や椎などの常緑広葉樹を植えて防風林をつくっています。今のみんなさんは1個1個の石垣を積み上げている途中です。それをさらに強固にするためには、そこへ大きな木を植えていくことが重要です。椿も椎も美しさや力強さを感じさせ、寿命の長い立派な木です。そんな木も1本1本が積み重ねられて大きな力を発揮します。これからは椿や椎を植えていく大事な時期です。ぜひ大きなことへチャレンジしてみましょう。