タブレット導入で大きく変わる授業の受け方、学び方
来年度の新入生には1人1台のiPadが
仕事やふだんの生活で多くの人が使うようになったタブレット型端末。このツールを学習面で活用しようと考えている学校は少なくありません。その中の一つが桜丘中学校。同校では14年4月に入学する中学1年生と高校1年生から、1人1台のiPadを導入し、学校生活で使うことになりました。今回は、この新しい取り組みについて、副校長の品田健先生に語っていただきました。
板書の必要がなく生徒も集中力を維持

「学び方も教え方も変わるはず」とiPad導入に意欲を見せる品田先生

アプリを使って独自の教材を作り上げたロビンズ先生
「実は、教員に関してはすでに、今年度から授業でiPadの利用を始めています」と品田先生。これまでもパソコンを電子黒板やプロジェクターと接続して授業を行うことはありましたが、iPadのほうが容易で、指導する側も積極的に使おうという気持ちになるようです。国語科を担当していた品田先生もiPadを使って映画のワンシーンを生徒に見せ、そこから登場人物の心の動きを考察するといった授業を展開しているとのこと。「また、これまでなら黒板に書いていたことも、事前にまとめておけば電子黒板に映し出すだけで済みます。これは教員の板書の時短だけでなく、生徒が高い集中力を維持しながら授業に臨めるという意味で、非常に有効ですね」と品田先生。社会のように指導範囲が広い科目を担当する先生からも、「授業がスピードアップするのでありがたい」との意見が出ているようです。
また英語科のジェイソン・ロビンズ先生は、英会話のロールプレイをアプリで作成したり、ゲーム感覚で解答を考えさせる授業をiPadで行い、生徒にも好評とのこと。生徒がiPadを持つようになれば、ロビンズ先生の正しい発音を録音して自宅で練習するなど、いろんな使い方が考えられます。「授業以外でも運動部の顧問の先生が、フォームを撮影して指導に役立てるといった使い方もしています」とのことで、すでに学校生活のあらゆる場面でiPadが役立っているようです。
授業の受け方も変わる教員に求められる意識改革

社会の授業(倫理)でも板書がわりに
そしていよいよ来年度からは、生徒もiPadを使って授業を受けることになります。「とは言っても、独自のアプリを開発して準備をするなどは考えていないんです」と品田先生。確かに、そうしたアプリを設定することが、逆に使用法を狭めてしまうかもしれません。「たとえば授業で教員が説明をしたときに、生徒がネットで検索して別の意見を発言したとします。そのときに教員が、その意見にきちんと対応できるかどうか。我々の指導力も問われると思いますね」。先生も大変になりますが、こうした授業を日々行うことで、生徒たちのITリテラシーはもちろん、コミュニケーション力や提案力など、さまざまなスキルが伸ばせるのではないでしょうか。
桜丘中学校
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