私学探検隊

生徒が裁判官や裁判員役となり、実際にあった 判例を用いて行う、臨場感ある模擬裁判

中3を対象に大学との連携で実施

評決の場面。裁判においては、学校の委員会などとは異なり、絶対多数決ではないということを学んだ

評決の場面。裁判においては、学校の委員会などとは異なり、絶対多数決ではないということを学んだ

日本大学第二中学校では、大学の付属校という環境を生かし、大学と連携した学習行事を行っています。中3を対象に毎年実施している「模擬裁判」もそのひとつです。これは、日本大学法学部教授の船山泰範先生と学生の皆さん、そして日本法育学会のサポートを受け、同校で10年以上続いている取り組みで、大学に学年全員が出向いて実施されています。特に、平成21年からは日本で裁判員制度が導入されたこともあり、裁判について学ぶことは生徒たちにとって貴重な機会となっているようです。今回は、この模擬裁判に代表生徒として参加したA.Kさん、K.S君、T.T君と中3学年主任の大石泰範先生、国語科の塚原政和先生、社会科の飯嶋邦彦先生にお話を伺いました。

3人の生徒はいずれも自ら立候補して、裁判に参加するクラス代表になったのだとか。S君とT君は左右陪席裁判官、Kさんは裁判員の役割を担当しました。裁判長や被告役は大学や日本法育学会の方が務めました。毎回、実際にあった事件をもとに裁判の内容を設定しますが、今年は昭和62年に起きた事件の判例が使用されました。駅のホームで酒に酔った男性に絡まれた女性(被告)が男性の体を突き飛ばした結果、男性が線路上に転落して死亡したという事件で、争点はこの行為が暴行罪なのか、正当防衛による過失致死なのかという部分でした。これについて、裁判員役のKさんは被告と同じ女性の立場から意見を述べました。「怒ってわざと線路に落としたのではないかという意見もありますが、自分なら怒りより先に防衛の本能が働くはずだと話しました。裁判においては自分の意見を述べるだけでなく、さまざまな視点から物事を捉えることが大切だと学びました」(Kさん)。

多様な意見を聞きつつ、積極的に発信できる人に

裁判官役を務めたS君は、この経験を通じて、それまでよりも裁判に関心を持つようになったといいます。「テレビや新聞などで裁判のニュースがあると注目し、少しは理解できるようになりました」(S君)。一方、もう一人の裁判官役だったT君はコミュニケーション能力や協調性の大切さを学んだのだとか。「裁判長に指されたら、自分の意見の理由を丁寧かつ具体的に話す必要があります。裁判に参加していた法学部の大学生の話し方は見習うべきところが多くありました」(T君)。
また、大石先生は、「今年は傍聴席にいた生徒たちにもマイクを回しましたが、みんな積極的に自分の意見を述べてくれました。学年全員が参加する意識を持ってできたことは収穫でした」と話します。塚原先生は模擬裁判の前後にワークシートを作成させる課題を課しましたが、「国語の授業でも自分の意見をしっかり述べられるようになってきています」と、生徒たちの成長を実感したようです。KさんとS君の担任でもある飯嶋先生は「来年は高校生になりますが、座学とは異なるこの体験を生かし、これからも多様な意見を聞く姿勢を持てる人に成長してくれれば」と話します。模擬裁判は大学で行うことから、生徒たちが進路を考えるきっかけにもなっているようです。

 

※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。

日本大学第二中学校
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