学校はひとつの家庭であり、社会。学園独自の「生活即教育」で“生きる力”を養う。
多くの学びは自然と生活の中で育まれる
自由学園は大正時代、教育家でジャーナリストとして活躍していた羽仁吉一・もと子夫妻が、知識の詰め込みではなく、学問の本質を教えるための学校として、1921年に創立しました。10万㎡の広大なキャンパスには、小川が流れ、畑があり、約4000本の樹木が生い茂っています。ここに幼児生活団(幼稚園)から初等部、中等科、高等科、最高学部(大学部)までの児童・生徒・学生が共に学んでいます。
自由学園の教育理念は「生活即教育」。人間の土台は、机の上の勉強だけではなく、日々の生活の中で作られると考えています。つまり、食事をしたり、掃除をしたりといった生活も含め、一日24時間すべてが勉強というわけです。その学びの場となるキャンパスは、ひとつの「家庭」であり、ひとつの「社会」。ここで幅広い年齢の生徒と先生たちがかかわり合いながら、互いを尊重し、責任を持ち、人として大きく成長して欲しいと考えています。
自由学園の生活の基本は「自労自治」。自分たちのことは自分たちでします。キャンパスは各部ごとに「自治区域」と呼ばれる担当地区に分けられ、掃除をはじめ、芝刈り、ベンチの製作や修繕などを生徒たちが行っています。このように自分の手足を動かしながら、生活に根付いた実学を身に付けていきます。
男子・女子の特性を生かした生活からの学びと自立

女子部では、クラスの半数が交代で280人分の昼食を作ります。食の運営を通じて、食の大切さと感謝する心を養います。
自由学園の中等科・高等科は、男子部と女子部に分かれています。これは、心身の成長度合いが男女によって異なるため、それぞれに合った学びをすることが理想だと考えているからです。
男子部の大きな特色は、生徒自身が学校・寮の生活運営を担う「自労自治」を徹底しているところです。男子は、中等科に入学すると一年間、全員が寮に入り、自分の生活を自分自身で管理運営することを学びます。洗濯や身の回りの整理から、時間とお金の管理まで、それまで親に任せていたことを自分でする生活に変えるのです。また、寮生活自体も、高等科3年生の寮長や室長を中心とした生徒の自治によって運営されています。このように、男子部では生徒の成長段階に合わせて、自分の身の回りのことから、部全体に関わる大きなことまで、「自分たちのことは自分たちでやる」教育を行っています。
「自労自治」の教育は女子部でも実践されています。女子部では、生活そのものを教材とする「生活即教育」を基本姿勢に、日々の生活からの学びを大切にしています。その特徴的な学びとして、生徒自身が自分たちの昼食を作ります。クラスの半数が交代で、女子部280人分の昼食を作るのです。この昼食作りにも役割分担があり、リーダーを中心に、準備から片付けまでのすべてを生徒自身で行っています。こうした「食」の運営を通じて、畑で作物を育てる、それに必要な堆肥を作る、台所や食堂を清潔に保つなど、日々の食事ができるのはたくさんの支えがあるおかげと実感し、感謝する心を育みます。
また、男子部・女子部に共通する学びとして、「自労自治」の中心となる「委員会制度」があります。委員は中等科1年生から高等科3年生までの全クラスから選出され、約2カ月交代で全生徒が学校生活を運営する委員会のメンバーになります。つまり、すべての生徒がリーダーになる機会が必ずあるというわけです。このような体験を通じて、責任感を育て、自分で考え自分で意見を言える人へと成長させていきます。自由学園では、こうした経験こそが、実社会に出たときに役立つ力になると考えています。
偏差値では測れない今、本当に必要な力
このように、自由学園では創立以来95年間、独自の教育を実践してきました。世間一般の学校と比べれば、やや個性的な校風ですが、今世の中では、知識だけの学力よりも、複雑な社会を生き抜くための力が求められています。その傾向として、2020年より大学入試が「知識偏重」から「人物重視」へと変わります。
自由学園の入試も「人物重視」です。学科試験以外に集団考査と個人面接があります。集団考査では、男子なら工作を、女子なら実験をさせたり、全員で体操をさせたりし、その様子を試験官が観察します。先生の指示通りに動けているかを見たり、工作や実験などでは共同作業をさせたりして、受験生の様子を見ます。そのときに何もしないで眺めているような人は、たとえ学科の成績が良くても、合格できない場合があります。このような一貫した人間教育を行っているのが自由学園なのです。
一般の大学部にあたる自由学園の最高学部は、同園の男子部・女子部高等科を修了した生徒のみが入学できます。最高学部の教育の最大の特徴は、「自由学園型リベラル・アーツ」です。最高学部では全学生が文系・理系の専門に偏らず幅広い分野を学び、総合的な力を身に付けます。実社会に出たら、苦手なことや困難な状況を自分自身で乗り越えていかなければならない場面に出会うはずです。そのとき、自分の頭で考え、問題を発見し解決できる力を養って欲しいと考えています。
また、最高学部生は自由学園全体の運営にも参加します。そして、男子部・女子部で培ってきた運営力をさらに伸ばしていきます。こうして、自由学園という社会で培ってきた知識や経験を自分自身のために、人のために、社会のために活かせる人へと成長します。
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
自由学園 男子部女子部 中等科
[学校HP]http://www.jiyu.ac.jp/
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☎ 042-422-3111
最寄駅/「池袋」から15分。西武池袋線「ひばりヶ丘駅」徒歩8分。西武新宿線「田無駅」から西武バス15分。JR中央線・西武多摩川線「武蔵境駅」から西武バス30分。