「旅行をより楽しくするアイディア」を企業に提案!中等部3年「探究」の取り組み
一つのテーマを複数の教科の先生が教える「教科横断型授業」と、数多くの講座・体験を通じて豊かな教養を培う「土曜プログラム」が特徴の田園調布学園。3年前より、中1から高2で週1コマ「探究」の授業を設定しています。そのなかで、生徒たちが自分で問いを立て、試行錯誤しながら課題解決に向かうための力を育てています。今回は、中等部3年生が1学期に取り組んだ企業コラボ企画の最終プレゼンの様子を取材しました。
探究学習
最終プレゼンの様子
<発表例>
・身軽に旅行に行きたいAさんの課題を解決する「宿泊先での洋服レンタル」案
・旅行終了後の寂しさを減らしたいBさんの課題を解決する「お土産交換」案
・旅行先がマンネリ化しているCさんの課題を解決する「自然が豊かな川のある旅行地ルーレット」案
ビジネスで使われる手法に則って
チームで施策を検討
中3生が取り組んだのは、楽天のサステナビリティ推進部・「楽天トラベル」事業部から出された『中高生が行きたくなるような充実した旅行に関するモノコト』というお題です。事前学習として、旅行業界が抱える課題をはじめ、他の旅行会社だけでなく、自宅に居ながら楽しめる動画コンテンツやデリバリーサービスなども同社のライバルになっていることなどを教えていただいた上で、生徒たちはグループで検討を行いました。
同校の中学の探究の授業では、企業の商品開発などで使われる「デザイン思考」という手法を学び、それを用いて課題解決に挑戦します。「デザイン思考」では、課題を抱えているユーザーを具体的に設定して、その人の本当の課題(インサイト)を解決する策を考えて試作し、改善を加えていくサイクルを繰り返していきます。クラス代表の各班は、「どういうユーザーのどんな課題を解決する施策か」という設定条件から、発表をしていました。
仕事の場面に触れ、手触りのある
課題に対して試行錯誤する
経験ができる点が、企業コラボの醍醐味

中間発表時にはのべ約40人の社員の方が来校し、各班にアドバイスをくださったそうです。
「旅行に関するモノコト」という同じテーマでも、旅行の準備段階に着目した班もあれば、旅行後の課題を設定する班もあるなど、様々な場面とユーザーが設定されていました。例えば、旅行は好きだけれど、後片付けが面倒だというユーザーの課題に注目した班は、まずはインサイトを「楽しく片付けをしたい」と置き、片付けにゲーム性を持たせたり、使い捨てのものを持参したりする策を検討したそうです。しかし、本質的な解決になっていないことに気づき、インサイトの再設定を行った結果、「楽に片づけたい」という別のインサイトに応える策を考えたとのことでした。このように、どの班もすんなりと良い施策に至ったわけではなく、アイディアを実際に試してみて、インサイトに立ち返ったり、複数の施策を組み合わせたりと、試行錯誤を繰り返した様子も含めて発表がされていました。
今回の授業について、「社会人の方々が、仕事の現場で何をどう考えているのかに触れ、実際に自分たちも試行錯誤をしてみる経験ができることが、企業とのコラボ授業の狙いであり醍醐味」と、探究の授業担当の坂本登先生は話されます。発表当日も、楽天の社員の方々からは、「改善の繰り返しに真剣に取り組んだ姿勢が伝わった」「ユーザーに再度インタビューして真のインサイトを聞き出すなど、原点に立ち返ることができていて良い」などのフィードバックがあり、「今回の企画から、新たな視点を得ることができた」との講評をいただけていました。
この企画は1学期で区切りとなりますが、2学期は秋の学習体験旅行に関する探究プロジェクトが予定されているそうです。ビジネスの場を疑似体験した生徒さんたちが、今後の探究活動を通じてどのように課題解決力を蓄えていくのか。今後の実践が楽しみです。
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
田園調布学園中等部
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