「生成AI」の第8世代ICT+「プログラミング」で新しい仕事を創造する女性を育てる

モデルはこの春の卒業生。撮影時、彼女たちに「瀧野川女子学園の学生時代を表現してほしい」と伝えたところ、バトン部のキャプテンだった生徒(右)はバトンを持ってポーズ。一方チアダンス部のキャプテンだった生徒(左)は高くジャンプ! 奇跡の一枚が撮れた。
2026年に創立100周年を
迎える伝統校の新たな挑戦
JR京浜東北線の上中里駅よりすぐというアクセス抜群の場所にあり、近くには滝野川公園や旧古河庭園がある閑静な住宅街に建つ瀧野川女子学園は、来年(2026年)に創立100周年を迎える伝統校です。
創立者の山口さとる氏は37歳の時、自宅の2階を開放して、「皆で好きなことを見つけ、思い切りやり抜く」「仕事を通して、望むような人生を手に入れて欲しい」という思いから創立。それから1世紀、ICT教育に早くから取り組んできた同校は今年、「第8世代の教育ICT」と銘打って、ICT教育を数年ぶりに更新。第8世代は「生成AI」を取り入れ、考える力を鍛え、従来から行っている「創造性教育」(創造性×起業家精神×デザイン思考)で、さらに実社会で活躍できる力を身につけた生徒を育てていきます。
創造性教育①
学年ごとにテーマを設け、実際に手を動かしながらモノを作ると同時に起業家精神とデザイン思考を養う。2015年より始まったこのプログラムは2022年その実績が認められ、「キャリア教育優良校」として文部科学大臣に表彰された。

中1では「理想の街を創ろう」をテーマにジオラマを作る。

創造性教育②
高校生になると、実際に商品開発をし、販売することに。高1ではデザイン思考を使って、企画と試作に挑戦。さらに、高2では「事業化実習」とし、仲間を募り、出資し、模擬会社を立ち上げ、経営、マーケティング、商品開発、制作まで行う。そして、それらをあかつき祭での販売や修学旅行先のハワイ大学でチャリティーバザーを実施し、最後に決算、株主総会を行う。
創造性教育で培った経験と自信は面接主体の大学入試で高い実績を上げている。さらに、面接主体の入試で入学した生徒は勉学でも研究でも、しっかりした結果を出していると、大学関係者からも高い評価を受けているそうだ。
「和の価値観」をテーマに、ハワイのチャリティーバザーで実際に販売した商品。質感にもこだわったしおり、円筒形で自立する巾着、メモスタンドにもなるペーパーウエイト、リボン部分が組み合わせ自由なバレッタ。どの商品もデザインとともにアイデアに富んでいてお客さんに好評だったとか。
『情報Ⅰ・Ⅱ』『情報数学』の
必修化でプログラミングを強化
創立者のひ孫で副校長の山口龍介先生に第8世代の教育ICTについて伺いました。山口先生は東京工業大学(現・東京科学大学)大学院理工学研究科機械宇宙システム専攻でロボット工学を研究、最先端の技術教育・国際教育に精通した方です。
「これからの社会で求められているのは、チームで社会に新しい価値を実装し、創り出せる若者です。そのためには“アウトプット”が必要です。アウトプット思考をよりいっそう強くするのが今年度からスタートした『第8世代の教育ICT』です。それに加えて、文理問わず新しいビジネスやシステムを構築するためには、プログラミング能力が重要です。生成AIの登場でプログラミングは誰でもできると言っていいほど、簡単でおもしろいものになりました。次年度からは中1から中3の『中学情報』、高校の『情報Ⅰ・Ⅱ』、『CODE for Fun!』で、プログラミングの能力を育てます。また、高2で新しく『情報数学』という教科を設置しました。これは文理選択で文系を選んだ生徒たちの必須教科で、コンピュータで必要な数学を数学の教員が教えます」
同校の生徒は中2でロボットを動かすほどのプログラミング力を持っていますが、今回の改革でさらにその力をアップしていくことでしょう。
生成AIを活用し、創造することが
できる生徒を育てる

第8世代教育ICT
第8世代の主軸となる「生成AI」。現在同校で使っているのが「Gemini」と「ChatGPT」です。
「『Gemini』はビジネスアプリとの連携が強く、スプレッドシート、Google検索などに、『ChatGPT』は言語処理に優れていて、それぞれ使い分けています」
生成AIは13歳未満使用不可となっているため、同校では中2以降で使っています。また使う際にも細心の注意を払っており、「第8世代に更新した本校のICTでキーになるのは、実社会へのアウトプット思考の教育を各教科の授業で行っていることです。それを強力に支えているのが生成AIです。例えば英語や国語だったら、何を、誰に話し、書くか。社会だとどのような政策を提案するか。学びが実社会で有効なものに近づくほど、生成AIは大変有用な『道具』として活きていきます。便利だけど不完全な道具だからこそ、専門教育を受けた各教科の先生たちと一緒に使い方を身につけていきます」
ところで、毎年授業に対するアンケートをとっている同校。結果、24年度では全校の90%もの生徒が「満足」と答えるほどでした。第8世代の教育ICTにより、さらに「満足」と答える生徒も増えるはずです。第8世代の教育ICTで育つ生徒たちの将来の活躍が楽しみです。

プログラミングでロボットを動かす授業。楽しそう!

生成AIもどんどん使いこなしていく!
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
瀧野川女子学園中学校
[学校HP]https://www.takinogawa.ed.jp/
〒114-0016 東京都北区上中里1丁目27-7 Tel.03-3910-6315
最寄駅/
JR京浜東北線「上中里駅」徒歩2分。メトロ南北線「西ケ原駅」徒歩8分。
JR・メトロ南北線「駒込駅」徒歩12分。