サンゴを飼育・調査し、海の環境改善を研究。毎夏、沖縄県伊江島でダイビングして自ら植え付け!日本サンゴ学会からも認められた研究の積み重ね。
自然あふれる広大なキャンパスに充実した教育施設が整う玉川学園。創立者の小原國芳氏が常に大事にしてきた、ホンモノに触れる体験をし、「触れて、感じて、表現する」ことは、中学部の部活動にも通じています。今回訪れたサンゴ研究部は、まさにその代表の一つ。夢工房と呼ばれる学内のサイテックセンター(理科教育専門校舎)にある実験室に、サンゴの水槽を複数設置して、実際にサンゴや魚などの飼育を行っています。

左から吉住実咲さん(中2)、小畑莉亜さん(中2)
部長の吉住実咲さん(中2)は、幼少期から訪れていた沖縄の海での経験から海洋生物を身近に感じ、入部しました。
「沖縄県から特別に採捕許可をもらい、持ってきた伊江島のサンゴを学内の水槽で育て、また還す活動をしています」
適した水質や環境、植え付け後の海での定着方法など、次々に現れる難題に、中高協力してみんなで議論を重ね、解決への試行錯誤を繰り返してきました。毎年夏には沖縄県の伊江島に研修に行き、約1年かけて育てたサンゴを自分たちでダイビングして植え付けを行なっています。
「海では、高水温や酸性化、他の魚による食害などもあり、白化して死んでしまうサンゴも多くいます。植え付けてから1年後に生き残るサンゴは3割程度。少しでもその割合を上げるために、今はブダイ(魚)の食害を防ぐために、環境負荷が低く、将来的には微生物によって分解される生分解性プラスチックを使ったサンゴのカバーの設置を検討しています」(吉住)。
敷地内に大学・大学院、研究施設も揃っている玉川の利点を活かし、生物についての大学の専門的な教授たちのアドバイスや、3Dプリンターの活用には工学部のサポートなども得ているそうです。
サンゴを通して課題を見つけ自らの研究に取り組む日々
同じく中2の小畑莉亜さんは、農学部の教授らと共に水の中に生きる光合成細菌の研究に取り組んでいます。
「光合成細菌は、水中に生息し、水質浄化をしてくれる微生物。海水で生きる光合成細菌を見つけられれば、サンゴの水質を保つのに役立つと期待し、沖縄から持ち帰った泥の培養などをして調査しています」
やはり幼い頃から海が身近だった小畑さんは、海に関することが学びたくて玉川学園に進学しました。
「海の固有種が自然破壊などで少なくなってきているのを知り、そうした固有種を守れるような仕事に就きたいと思っています」と話してくれました。
一方、吉住さんは昨年宮崎で行われた日本サンゴ礁学会にもパネル発表で参加。
「多くの講評をいただいて学びになりましたが、いつかは中学生だからではなく一つの研究として認められるようにしていきたい。将来は、理系に進学して、大学や大学院で自分が面白いと思ったものを突き詰めたいです」
学内外の人の協力で仕事や思い、協働を学んでいく

実験装置や器具の扱いも手慣れた生徒たち
「何もわからないところから始まり、毎年研究を重ね、学会やさまざまな交流の場で学び続け沖縄県や企業と連携した研究へと活動を広げてきました。私の役目は、生徒たちを漁協の方や専門家とつないでいくことです」
と話すのは、14年前の設立から携わる市川信先生。日本サンゴ礁学会でも昨年、保全・教育普及奨励賞を学校団体として初めて受賞しました。
「生徒には自然の貴重さや失ったものの回復の難しさを知るとともに、関わる専門家の仕事や思いにも触れてほしいです。彼らが将来、課題解決に取り組むとき、味方を作ってチームで取り組む人に育ってほしいと願っています」
※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。
玉川学園中学部
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