私学探検隊

自分自身を理解し、発信する方法を学ぶ独自の表現教育

数々の課題で身につける表現や発信の方法
相模女子大学中学部では、1年次に「表現」という授業を行っています。科目名を聞くと美術などをイメージしがちですが、どちらかというと自己表現や発信について学ぶ点が特徴。指導するのは、書道を担当している岡﨑忍先生です。一体、どんな授業なのでしょうか。
「生徒たちに自分の思いを形にし、それを人に伝えることを学んでもらいたいと思っています」と岡﨑先生。たとえば、まず行うのが「自分新聞」の制作です。壁新聞の形式で自分のプロフィールや興味のあることなどをまとめ、読み手に伝えていきます。また3学期になると学校紹介ポスターも作ります。自分自身が感じた学校の良さを、キャッチフレーズやビジュアルで表現するのです。生徒目線で作られたこのポスターは、次年度の新入生の心にも、きっと響くに違いありません。
こうした課題のほかに、「表現」の授業では和本作りにも挑戦。楷書から行書といった文字の歴史を自分でまとめ、それを歴史の授業で目にする古い書物のように綴じていくのです。「生徒たちが成長して母親となったときに、子どもに教えたりするとうれしいですね」と岡﨑先生は語ってくれました。

入学直後に取り組む「自分新聞」は、自己紹介に最適なツール

それぞれに趣向を凝らし、学校の良さをポスターでアピール

どんな生徒にも主役になれる場所を用意

この「表現」の授業に限らず、相模女子大学中学部には読書感想文など、自分の思いを表現する機会が年間を通じてたくさんあります。たとえば年初には全校生徒で講堂に集まって書き初めを行います。1人に配られる紙の数も2枚と限られていて、緊張感たっぷり。書き初めに向けて練習してくる生徒もいるようです。
また日ごろ感じたことを文章にして発表するのが主張コンクール。ふだんはおとなしい生徒が自分の意見をしっかりと披露して、皆を驚かせることもあるそうです。3年生が優勝することの多いコンクールですが、去年は1年生が優勝。先生にとっても生徒の意外な一面を知る、いい機会になっています。このほかにも、学園合同の学園祭ポスター制作への応募など、常に表現や発信の機会があります。「だからなのか、授業で課題を出しても考えをサッとまとめて書き始める生徒が多いように思います。それは高校へ進学し、外部から入学してきた生徒と比べたとき、特に感じますね」とのことでした。
「発信力」といった言葉が社会でよく使われる現代。多くの学校でも意識して指導していると思いますが、「表現」という科目で入学直後にきちんと指導し、その後に多くの機会を設定する。相模女子大学中学部のこの方法は、自然な流れで発信の仕方を身につけられると感じました。そしてコンクールや発表など、誰もが主役になれる場所が常に用意されています。それこそが楽しみながら成長できる、相模女子大学中学部の良さなのだと感じました。

各行事での発表内容は毎年冊子にまとめられ、生徒の大切な思い出に

和本制作は、好きな千代紙で表紙を飾ったら完成!

相模女子大学中学部・高等部
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