私学探検隊

教育改革の最終年。でも、最も魅力的なのは変わらぬ根幹

インタラクティブな姿勢を育む教育

中1の特別授業では、屋上にある「実践の森・農園」で植物の生態について調査し、発表した(2012年)

[コミュニケーションデザイン教育]や[実践の森・農園]での体験的環境教育、また授業に連動した補習[J・スクール]など、10年計画で教育改革を進めてきた実践学園ですが、今年はその最終年にあたります。
大学合格実績をはじめ、目覚ましい成果を上げていますが、それは改革もさることながら、同校の教育の変わらぬ根幹があればこそなのです。
その根幹とは? 同校の教育の柱の一つである[グローバル教育]を例に、中学教頭の鵜飼公則先生にお話を伺いました。
「グローバルといっても語学だけじゃありませんし、“これがグローバルだ”と限定できるものではないと思うんです」と、鵜飼先生は言います。
同校では中3でニュージーランドへの修学旅行がありますが、その前に中1で鎌倉、中2で京都・奈良を訪ねて日本の歴史や文化を俯瞰します。海外に出る前に、自分の国のことを知るのです。
また高1では広島を訪ねて原爆の傷跡を見つめ、高2の修学旅行でハワイへ。ハワイではパールハーバーを訪れ、今度は逆の視点に立ってみます。日本人だけれどアメリカ兵として戦った、日系二世の方から話を聞いたことも。
同じ戦争でも、立場が違えば見え方は異なりますが、そのことに直面した生徒たちはジレンマを感じ、その後も抱えつづけていくのです。
このように、同校の学習はまさにインタラクティブ。それぞれが単独なのではなく、[グローバル]も[平和]も[環境]も、すべてはつながっているのだと、物事を広い目で見る姿勢を育んでいます。

中1と中2のコミュニケーションデザインの授業では異学年でペアを組み、貿易ゲームなどを行う(2012年)

中3ニュージーランドの語学研修の最終日、さよならパーティーで。姉妹校のマルボロ・カレッジの生徒たちと(2012年)

興味の種を見つけさせるため、先生方は奔走する

生徒たちに良い学習環境を与えるために、先生方は手間を惜しみません。同校では、IWB(インタラクティブ・ホワイトボード)という電子黒板が全教室に配備され、動画や音声などをフル活用して授業が展開されていますが、このIWB導入のいきさつからも、先生方がつねに奔走していることがわかります。
「8年前のことですが、ラジオを聞いていたとき、ふと“インタラクティブ・ホワイトボード(IWB)”という言葉が耳に引っかかったんです。イギリスで使われているというけれど、どうも良さそうなものだと思いまして」(鵜飼先生)
その話を校長やほかの先生にしたところ、すぐにイギリスの学校に見に行くことに。こうして同校は、全教室にIWBを導入する先陣を切ったわけです。
このように、同校では新しく何かを始めるとき、先生方はとことん考え調べて、実際に見に行き、触れて、生徒にとって本当に良いと思うものを選びとっているのです。「生徒たちには、いろいろなものに接してほしい」という強い思いがあるからです。
「何に興味をもつか。それを自分で見つけ出す力をつけてほしい」という先生方の思いは、10年に及ぶ改革はもちろん、同校の教育を支える根幹そのものなのです。

実践学園中学校
[学校HP]http://www.jissengakuen-h.ed.jp/
〒164-0011 東京都中野区中央2-34-2
☎ 03-3371-5268
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