私学探検隊

社会で生きるチカラを身につける独自のプログラム「自分を深める学習」

なぜ学ぶ?どう生きる?さまざまなテーマを考察

魚を自分で捕まえて、調理して食べる中学2年の戸隠校外学習。命や自然とのつながりについて深く考えるきっかけに

東京成徳大学中学校では総合学習の時間を活用して、「自分を深める学習」と題した特別教育プログラムを行っています。この授業は中学1年生から高校1年生までを対象にして「自分とは何か?」「なぜ学ぶのか?」「どう生きるのか?」をテーマに、さまざまな題材を使いながら展開。何かを教えるというよりも、生徒自身に考えてもらうという内容になっています。この独自プログラムといえる「自分を深める学習」について、担当している宇田川勝巳先生にお話を伺いました。

正解のない問題を通して生徒は成長する

中学3年の「絆」というテーマではブラインドウォークを体験

「自分を深める学習では、テレビのドキュメンタリーなどを見たうえで、感じたことを書いてもらうといったことを行います」と宇田川先生。題材はほかに新聞のコラムや書籍、マンガやアニメも取り上げます。また校外学習で長野県の戸隠へ行きますが、川でニジマスをつかみ捕り、自分たちでさばいて食べることも体験。ここまでなら一般的な校外実習ですが、東京成徳ではこの後に「ニジマスはどの段階までが生き物で、どこからが食べ物だった?」と生徒に問いかけるのです。捕まえる前から食べ物として見ていたという生徒もいれば、調理するまで生き物だったという生徒も。「そのどちらも、間違いではないんですね」と宇田川先生。「このプログラムでは『正解のない問題』について考え、他者の意見にも耳を傾けることが大事です」。
中学や高校で学ぶことは、英語にせよ数学にせよ、一つの正解を見つけ出すという内容がほとんどです。けれども社会に出れば、正解が一つではないということが少なくありません。このプログラムはそうしたことを知るための良いきっかけになり、通常の授業では得られない経験といえるのではないでしょうか。この授業は中学1年生から4年間行われますが、当初は授業の感想を数行程度しか書けなかった生徒が、徐々に自分の意見をしっかりと持つようになるなど、宇田川先生も生徒の成長を実感するそうです。ちなみに4年間書きためた感想文は一つにまとめられ、高校卒業時に各生徒に手渡されます。生徒たちも、そこで自身の成長を実感するのでしょう。
「生徒が関心を持ちやすい最適なテーマを見つけるのは大変です」と語る宇田川先生。手作りの授業なので苦労も多いそうですが、その苦労は10年後、20年後の生徒の成長に、きっと生かされるに違いありません。

「自分を深める学習」主な内容(抜粋)

[中学1年]仲間を作ろう/なぜ学ぶの?/違ったっていいじゃないか/家族のことを考えよう/どんな人になりたい/13歳のハローワーク
[中学2年]進化を知ろう/『葉っぱのフレディ』/いのちのつながり/戸隠校外学習/『100万回生きた猫』/ライフプランニング
[中学3年]自分とは何か/絆(ブラインドウォーク)/死って/生きるって/幸せって/ビッグロック/大人の目線で考えよう(一人暮らしのシミュレーション)/働く/夢と現実/自分で題を考える(Sジョブズ伝説のスピーチ)/私のものさし/正義とは、公正とは(白熱教室マイケルサンデル)
[高校1年]いのちを考える/将来を考える

東京成徳大学中学校
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