私学探検隊

情報が錯綜する社会の中で正しい情報を選び発信する力を育むカリキュラム「情報リテラシー」

“調べる力”がスキルアップすると視野がどんどん広がっていく

お互いを思いやる心を持ち、流行に流されずにしっかりとした自己確立をするための「仏教を基にした教育」と、自分の思い描く将来を実現するための力を養う「一貫教育」を実践する国府台女子学院中学部。
50年以上続けてきた「読書指導」では、本を読むことで疑似体験をし、内容についてさらに掘り下げていく“学びの姿勢”を大切にしてきました。しかし今の社会は、テレビや新聞はもちろんインターネットなどのメディアによる情報に誰もが翻弄されているのが現状です。そんなすべての情報を鵜呑みにせず、必要な事柄を探して選ぶ「調べる力」、正否を判断する「読み解く力」、自分のものにして表現する「発信力」の基礎を学ぶ「情報リテラシー」というカリキュラムを2017年度よりスタートさせました。
そこで今回は、図書館司書教諭の多田明子先生と今関加奈恵先生に授業の概要についてお伺いしました。

まず仕組みを学び、図書館を使いこなすスキルを身につける

「授業は先生2名で教えるチームティーチング制で、中学1年生から3年間を通じ、週1時間、総合学習として図書館で授業を行います。中学1・2年生では、図書館を上手に利用するための“本の探し方”や“資料、新聞、インターネットの情報の特性”“引用や要約の仕方”“著作権”など本格的な『調べ学習』の基本を習得していきます。図書館では蔵書を日本十進分類法で整理していますが、分類方法を学ぶことによって、最初は誰かに聞かないと探せなかった本がだんだん自力で見つけ出せるようになっていきます。自分の好きなことや興味のあることを調べるのはそんなに苦じゃないんです。調べる力がついてくると、ひとつの事柄から次第に視野が広がり、思わぬきっかけで新たに興味をもつヒントや将来の目標が見つかったりすることもあるんです」と多田先生。
中学2年生になると、さまざまな物事について、資料やインターネットを使って調べ、それについて話しあったり、プレゼンしたりするなど、スキルアップした授業を展開します。中学3年生では、“新聞を読んで1分間スピーチをしたり、意見作文を書いたり、修学旅行の事前学習をする、現代社会の問題をレポートに書く”など、調べたことを理解し、自分の言葉で人に伝えるスキルを高めます。また、レポートやプレゼン資料で出典を明記するなど、著作権・肖像権についても学びます。

目的がなくても気軽に立ち寄れるほっこりする場所

「興味のない事柄にどうやって生徒の目を向けさせるか…を毎日試行錯誤しています。目的なくふらっと図書館に来たときでも、館内を自由に歩いてほしいです。そのとき気になった本がパッと手に取れるよう表紙を見やすく置きました。毎月約100冊の新着本が入りますし、年に一度生徒や先生たちが2000冊の中から選んだ本を購入する“選書会”も行っています。ほかにも定期的に新刊やニュースを紹介する図書館通信を配布して、生徒や先生方が新たな“ヒント”に出合えるようなさまざまな工夫もしています。なかには通信をチェックした保護者に頼まれて借りに来る生徒もいます」と今関先生。従来の図書館という枠を超え、学び、育む場所として幅広く展開しています。

利用したくなる工夫がいっぱい!

本の分類はイラストで
デザイン科の生徒たちが各分類のイメージをイラストで紹介。わかりやすく探しやすい

どこでも自由に座れるベンチ
館内のいたるところに木製のベンチを設置。いつでも座って本が読めるので便利

常に最新情報を発信する
図書館通信では新着図書案内や利用状況をデータで発表。先生方も授業の参考にしている

ずっといたくなる!ワクワクが止まらない!
図書館大解剖
p22-23_国府台女子_408

約5万冊の蔵書が生徒を迎える図書館。ふらりと立ち寄ったり、待ち合わせの合間に雑誌を読んだりと、気軽に使える空間です。館内ではいろいろな事柄に遭遇できるよう、さまざまな工夫がなされています。

入口を入ったら目の前が図書館
館内はさまざまなジャンルの書籍や雑誌が並ぶ「ブラウジングエリア」、パソコンなどが用意された「調べ学習エリア」、全集などが配架された「本の壁の部屋」の3つに分かれている

貴重な本がずらりと並ぶ〝本の壁〟
図書館の一番奥になる「本の壁の部屋」。旧図書館で利用していた木製の書架をリメイク。40席を確保し、読書や自習に利用できる

レベルに合わせて読める英語図書
洋書の小説が並ぶ「英語の多読」のコーナー。自分の英語力に合わせて本を選べると人気。力がついてきたらペーパーバックの洋書にもチャレンジできる

スクリーンがついた調べ学習コーナー
「調べ学習エリア」に配されたホワイトボードと電子黒板。授業で発表をする際などにも利用

話題の新刊でいつも人気のエリア
図書館の入口付近にある「新着図書のコーナー」。面談や保護者会の前に立ち寄るなど保護者からも人気だそう

教科と連携した特集コーナーを設置
「小論文を書くときに読んでおきたい本」など、授業のテーマに合わせて紹介されている

 

※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。

国府台女子学院中学部
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