私学探検隊

「大学訪問授業」は大学のその先へ…。 生涯にわたって「知」を求める基礎をつくる

創立40年記念!今年の注目は?

おもに土曜日の4時間目に行われる「大学訪問授業」は、大学教授をはじめ作家や音楽家などを招き、大学の講義を行ってもらう授業です。
「大学訪問授業は、将来就きたい職業や受験したい大学や学部など、進路選択のきっかけになるものです。生徒は文系理系の進路希望に関係なく、自分が興味をもったテーマや講師の先生の講義に参加します。そういった意味でも、この授業をきっかけに、“一生学び続ける”“知的好奇心を喚起する”、そのきっかけになってほしいと思います」と話すのは教頭の中野浩先生。
例年、大学訪問授業は約20回実施されますが、今年は高校創立40周年を記念して、全30回と少し多く実施されます。昨年は詩人の谷川俊太郎氏や音楽家の坂本龍一氏の質疑応答形式の講義が好評を博しましたが、「今年は将来を期待される若い研究者や、女性の方が多いのが特徴です。また、羽生善治氏は国民栄誉賞が決まる前から講師のお願いをしていたのですが、こんなに注目を集めるとは思っておらず驚いています」(中野先生)

社会運動についての講義を受けてみました!
ユーモアも交えての講義に生徒も興味深々

「LGBTパレード」や「#Me Too」運動など、最近のニュースの例を出し、社会運動について講義。生徒の興味を引き出していた

「LGBTパレード」や「#Me Too」運動など、最近のニュースの例を出し、社会運動について講義。生徒の興味を引き出していた

5月9日に行われた大学訪問授業を受講しました。この日の講師は、社会学者で立命館大学産業社会学部准教授の富永京子先生。1986年生まれの若い学者の方で、社会運動と個人の関わりについて研究しています。富永先生は冒頭の自己紹介で「みなさんと年齢が近いと思っていますが、『若ぶっているんじゃないよ』と思ったら、突っ込んでください」と言うと、生徒のみなさんから静かな笑いが起きます。
講義のテーマは「社会運動に学ぶ、身近な『政治』へのかかわり方」。まず社会運動のケースとして、香港で起こった「ポケモン」に関わる社会運動を例にあげて、サブカルチャー(ポップカルチャー)も政治に深く関わっていると話します。また、「日本でデモのイメージをイラストにすると、ハチマキをしたり、ヘルメットを被ってゲバ棒を持ったりと、オシャレじゃない印象ですよね。あ、でも私はこれも1周まわってオシャレじゃないかと思いますが…」とさらりと言うなどユーモアも。さらに、「合理的配慮」などのワードがでてくると、「ググってみるのもおもしろいと思います」と生徒に呼びかけます。そして、最後は、「社会活動は身近なもの。たとえば『受験勉強が辛い』というのも社会運動。なぜ受験勉強が辛いのか。そのモヤモヤやイライラを本を読んだり、専門家に聞いたり、ネットで検索したりして調べてみること。『受験勉強が辛い』というワガママが社会を変えるかもしれません」と締めました。
講義の後は質疑応答。生徒からは「当事者でもないのに社会運動をしている人がいますよね。どうお考えですか」「ニュースや話題など、どのメディアでみるのが一番いいですか」(ともに高3女子)などの質問が出ます。
授業終了後、高3女子に話を伺いました。受講理由は「社会学部に進学希望なので参加しました」「テーマにも興味があったので」とのこと。また、担任の先生から「世界を広げてきなさい」と勧められたそうです。富永先生の講義の感想を聞くと、「口調も内容もわかりやすくてよかったです」「とても興味深く聴くことができました」「大学の先生ですが、親近感がわきました」とのこと。
参加した生徒の一人ひとりに「知的好奇心の種」を蒔いたようです。

講義が書籍に!
今年、新しい新書が3冊発行予定!
 講義は書籍に収録。左右社からはその年度に行われた講義を収録したものを毎年3月に発行。最新刊『高校生と考える 希望のための教科書』には、昨年(2017年度)に講義された谷川俊太郎氏や坂本龍一氏、ノーベル化学賞受賞者・根岸英一氏など22名の先生の講義が掲載されています。また、「ちくまプリマー新書」(筑摩書房)の『中学生からの大学講義』はテーマごとに編集され、全国の中学・高校で朝読書や課題図書として採用されているロングセラー。2018年5月現在5巻が発行されていますが、今年夏から秋にかけて新しく3巻が発行予定です。

『高校生と考える 希望のための教科書』(左右社)の表紙にはアトムが。定価1,600円+税
「ちくまプリマー新書」の新刊は3年ぶりの発行。人気のあるシリーズだけに発売が待ち遠しい

40周年記念事業!
1978年に高校が開校。40周年記念事業として、サッカー場・メイングラウンド及び屋内型プールが完成しました。さらに、2018年度からICTを導入し、高1全員がクロームブック(ノートパソコン)を持ち、学習に活用することに。10月7日(日)には記念式典が行われます。

 

※上記はNettyLandかわら版の抜粋です。全容はこちらをご覧ください。

桐光学園中学校
[学校HP]http://www.toko.ed.jp/
〒215-8555 神奈川県川崎市麻生区栗木3-12-1 Tel.044-987-0519

最寄駅/
小田急多摩線「栗平駅」から徒歩12分。
小田急多摩線「黒川駅」・京王相模原線「若葉台駅」からスクールバス。

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